2020年8月30日日曜日

全統模試でE判定なら志望校を考え直すべき?


こんにちは!校舎長の西村です。

 

前回・前々回と模試の活用法についてのお話しをさせていただきましたが、今回は番外編で模試の判定についてのお話しをしたいと思います。

 

タイトルにもあるとおり、「全統模試でE判定なら志望校を考え直すべき?」という点についてですが、結論としては「一概に言えない」です。

「なんかつまらない答えだな」と思われる方もいるかもしれませんが、その理由はこれからお話しさせていただきます。

 

そもそもE判定とは、全統模試では合格可能性が20%以下である判定のことです。

言い換えると、合格可能性が0%に近い「現在の成績では合格の可能性がほぼない」生徒と、合格可能性が20%弱の「わずかだが合格する可能性がある」生徒が混在している判定です。この両者にはとても大きな隔たりがあります。

 

極端な例を挙げますと、京大の医学部を目指している生徒が2人いたとします。

2人とも全統模試の成績は残念ながらE判定でしたが、そのうち1人はあと3点でD判定が取れるくらいの成績で、もう1人は全教科の点数が3割程度でした。この2人の生徒の学力はどちらもE判定だから同じくらいでしょうか。そうではないですよね。

 


これはある生徒の模試成績表の一部です。

左が第1回マーク模試(5月)の結果、右が第2回マーク模試(8月)の結果です。

本人は第2回マークの成績が返って来たときにはE判定だったのでとても落ち込んでいましたが、私は「よく頑張ったね」と褒めました。これはこの生徒が落ち込んでいたから励ますために褒めたのではありません。実際によく頑張ったと思ったから褒めたのです。

 

私の場合はE判定を大きく3つに分類して考えて指導しています。

「未満下位または中位のE判定」「未満上位のE判定」「未満より上のE判定」の3段階です。

「一体何のこと?」と思われるかもしれせんが、画像中央のほうにある評価別人数という項目をご覧ください。再度同じ画像を貼りますね


□が黒塗りされているところがその生徒の得点ランクです。左側の画像では「未満」と書かれたところが黒塗りされていますが、右側ではその1つ上の段が黒塗りされていますね。

この差が非常に大きいのです。

 

この生徒の場合、第一回の模試での得点は85点(大阪大学外国語学部のセンター試験配点の150点満点に圧縮)です。「未満」の1つ上のレベルは107点~で、未満の1つ上のレベルに達するには22点以上点数を上げる必要があり、先ほどの3つの分類でいえば「未満中位のE判定」です。

 

この「未満」と「未満の1つ上のランク」の間の壁は非常に高く、例えばこの「未満の1つ上のE判定」の点数である107点に22点を足すと129点になりますね。これを表に当てはめると、A判定の中でもさらに上位の成績ということになります。

つまり、この「未満」と「未満の1つ上のランク」の差はE判定上位とA判定の差よりも大きい場合もあるのです。

 

この生徒は5月から8月までの3カ月でこの大きな壁を越えました。だからよく頑張ったねと声をかけたのです。上記の理由を説明すると、その生徒は自信がついたようでした。

模試の判定は一目でわかりやすい指標なので、こちらばかりに注目して自分の学力を判断してしまいがちではありますが、より細かく分析していく必要があります。

 

では自分の成績が「未満下位または中位」であれば志望校を諦めるべきなのかと聞かれると、これも違います。もちろん上位の大学であるほど受験科目が多く、ハイレベルな学力が求められることが多いので、一定の時期に思い切って受験科目が少ない大学等に志望校を切り替えるというのも1つの選択肢です。これも間違いではありません。

 

ただ、「この大学に行きたい!」という強い気持ちがあるのであれば諦めるべきではないと思っています。今の成績で合格が厳しいのであればこの生徒のように今から成績を伸ばして行けば良いのです。もちろん効果的な方法で、他の人よりも時間をかけて勉強するということが前提にはなりますが。かくいう私も高3生の夏までずっと「未満」でした。しかし志望校に合格したい気持ちだけは非常に強かったので、部活引退後からは必死に勉強してなんとか合格することができました。今時勉強に精神論なんて古臭い!と思われるかもしれませんが、逆転合格を目指すのであればやっぱり最後は気合と根性です(笑)

 

いかがでしたでしょうか。あくまで今回お話ししたことはE判定というだけで「合格する可能性がない」というわけではありませんといったお話です。もちろんD判定やC判定を取ることができれば合格する可能性は上がっていきますので、そこに向かうまでのステップとして「未満」と「未満より上」という指標も参考にしてみてください。